ものづくりの本質⑥ ~要求仕様の明確化と品質基準の策定~

~要求仕様の明確化と品質基準の策定~

ものづくりは、自社製品であっても、お客様へ納入する製品であっても、企画・設計から始まり、生産、販売へと進んでいきます。

そして、お客様に受け入れられる製品になるかどうかは、すべて企画・設計段階での考え方から決まります。

この段階で最も重要なのが、

「要求仕様の明確化」と「品質基準の策定」

です。

要求仕様とは、寸法公差や電気特性、消費電力、動作レスポンスなど、数値で表せる性能だけではありません。

傷、色むら、汚れなど、お客様が受け入れられる外観品質についても、あらかじめ基準を明確にしておく必要があります。

要求仕様や品質基準が曖昧なまま量産を開始すると、

「これは良品なのか。」

「これは不良なのか。」

という判断の違いが生まれます。

その結果、お客様との認識に齟齬が生じたり、生産現場で必要以上に品質を追求する「過剰品質」につながったりします。

本来、要求仕様や品質基準を決めるのは企画・開発部門の役割です。

しかし、私は品質部門も企画・設計段階から参画することが重要だと考えています。

企画・開発部門は、試作品を1台完成させることができます。

しかし、生産現場では、その1台を数千台、数万台と、長期間にわたり安定して作り続けなければなりません。

試作品ができることと、量産で同じ品質を維持できることは、まったく別の課題です。

品質部門は、

工程能力は十分か。

部品のばらつきを吸収できる設計になっているか。

長期生産でも品質を維持できるか。

という視点からレビューを行い、量産可能な品質になっているかを確認する必要があります。

品質問題は、生産が始まってから発生するように見えます。

しかし、その多くは企画・設計段階までさかのぼることができます。

だからこそ、品質保証は不良を見つけるだけではなく、品質を作り込む活動に参画することが重要なのです。

一方で、品質を追求し過ぎることにも注意が必要です。

品質が高ければ高いほど良いとは限りません。

お客様が求めていない品質まで追求すると、過剰品質となり、

歩留まりの低下、

製造コストの増加、

選別工数の増加、

納期遅延などを招くことがあります。

品質が良ければ、価格をいくら上げてもお客様が受け入れてくれるわけではありません。

競合他社との競争がある以上、品質だけでは市場で選ばれることはないのです。

品質、コスト、納期。

この三つのバランスが取れて初めて、お客様に価値を提供することができます。

だから私は、品質とは「最高品質」を目指すことではなく、

お客様が求める品質を、適正なコストで、必要な納期を守って提供すること

だと考えています。

品質は検査で作るものではありません。

要求仕様を明確にし、品質基準を定め、それを量産で実現できる仕組みを作ること。

それこそが、ものづくりの本質なのです。

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