不良率0.01%は本当に高品質なのか?
製造業に携わっていると、
「不良率0.01%なら十分高品質ですね」
という言葉を耳にすることがあります。
確かに数字だけを見れば優秀な品質です。
しかし私は長年ものづくりに携わる中で、品質は数字だけでは語れないと感じています。
メーカーとお客様の見え方は違う
例えば100万台の製品を出荷したとします。
不良率0.01%なら、不良品は100台です。
メーカーから見れば、
「99万9900台は正常」
です。
しかし、その100台を購入したお客様から見ればどうでしょうか。
その製品の品質は100%不良です。
お客様は、
「他の99万9900台は正常だから仕方ない」
とは考えません。
目の前の製品が動くかどうか。
それが品質なのです。
品質、コスト、価値のバランス
ものづくりの現場では、
- CD(Cost Down)
- VE(Value Engineering)
- QC/QA(Quality Control / Quality Assurance)
の3つが常に関係しています。
コストを下げれば利益は増えます。
しかし品質リスクは高まります。
品質を高めれば信頼性は向上します。
しかしコストも上昇します。
そこでVEという考え方が重要になります。
VEの本質は、
「品質を落とさずにコストを下げる」
ことではありません。
「顧客価値を最大化する」
ことです。
つまり、
- 過剰品質を見直す
- 本当に必要な機能を見極める
- 市場要求に合わせる
ことが重要になります。
品質基準は誰が決めるのか
現場ではよく、
「この品質基準はなぜこうなっているのですか?」
という疑問に出会います。
答えは、
「昔からそうだから」
であることも少なくありません。
しかし本来の品質基準は、
- 故障メカニズム
- 市場要求
- 安全性
- コスト
から決めるべきものです。
例えば、
ダイオードのリード線に軽微な変色があった場合、
見た目だけならNGにできます。
しかし、
- 電気特性に影響はあるか
- 寿命に影響はあるか
- 市場で問題になるか
を考える必要があります。
品質とは見た目を揃えることではなく、
お客様が期待する機能と信頼性を保証することだからです。
若手技術者に伝えたいこと
技術者になったばかりの頃は、
どうしても
- OK
- NG
の二択で考えがちです。
しかし実際のものづくりは、
- 品質
- コスト
- 納期
- 顧客価値
- リスク
を同時に考えながら判断を行います。
そこには絶対の正解はありません。
だからこそ、
技術者は「なぜその判断をしたのか」を説明できなければなりません。
おわりに
私は品質とは、
不良率を下げる活動だけではないと思っています。
品質とは、
お客様が安心して使える製品を届けることです。
そして技術者の仕事は、
最高品質の製品を作ることではなく、
お客様が求める品質を適切なコストで実現することだと考えています。
品質、コスト、価値。
この3つのバランスを考え続けることが、ものづくりの本質なのかもしれません。

