ものづくりの本質②

品質は検査で作るものではない

~不良を見つける品質から、不良を作らない品質へ~

品質保証の仕事というと、

  • 検査
  • 測定
  • 判定

を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

実際、製造現場では日々さまざまな検査が行われています。

しかし、長年ものづくりに携わる中で私が感じているのは、

品質は検査で作られるものではない

ということです。

検査は品質を確認する手段であって、品質そのものを作ることはできません。

抜き取り検査の目的を誤解してはいけない

品質保証では抜き取り検査が広く用いられています。

AQL(Acceptable Quality Level:合格品質水準)による受入検査もその一つです。

しかし、ここで誤解してはいけないのは、

AQLは品質を保証する仕組みではなく、

ロットを受け入れるかどうかを統計的に判断する方法

であるということです。

つまり、

検査に合格したからといって、そのロットに不良品が存在しないことを保証しているわけではありません。

ある程度の不良が含まれることを前提として成立している考え方です。

徹底的な分解検査で品質は向上するのか

以前から気になっていたことがあります。

抜き取った製品を徹底的に分解し、

  • 組立ミスはないか
  • 部品違いはないか
  • はんだ不良はないか

を細かく確認する活動です。

もちろん重要な検査です。

重大な工程異常や全数傾向不良を発見できる可能性があります。

しかし冷静に考えると、

その活動によって品質が向上しているのでしょうか。

実際には、

不良を発見しているだけであり、

不良が発生する仕組みそのものは変わっていません。

言い換えれば、

品質を改善しているのではなく、

不良品を選別しているだけとも言えます。

検査で見つかる不良、見つからない不良

例えば、

1000台のうち1000台に発生する不良であれば、

抜き取り検査でも比較的容易に発見できます。

しかし、

1000台に1台しか発生しない不良はどうでしょうか。

どれだけ検査を強化しても、

偶然その1台を引き当てなければ発見できません。

つまり、

検査能力を上げることには限界があります。

品質向上を目指すのであれば、

「不良を見つける」

ことよりも、

「なぜその不良が発生するのか」

を考える方が重要になります。

フィードバックからフィードフォワードへ

以前勤めていた会社では、

品質活動の中心がフィードバック型でした。

不良発生

原因解析

対策

再発防止

もちろん必要な活動です。

しかし私は、

このやり方だけでは品質向上に限界があると感じていました。

そこで、

前工程での改善を重視したフィードフォワード型の品質活動へ変革を進めました。

故障メカニズムを理解する

リスクを予測する

設計で潰す

工程で管理する

市場流出を防ぐ

という考え方です。

不良が発生してから対策するのではなく、

不良を発生させない仕組みを作ることに重点を置きました。

私が今でも大切にしている考え方

現在の会社でも、私は次のように考えています。

「正しく設計され、正しい部品が入荷され、正しく生産された製品は、本来不良になるはずがない」

もちろん現実には、

設備故障

ヒューマンエラー

部品ばらつき

予測できない事象

が発生します。

だから検査は必要です。

しかし検査は最後の砦であり、

品質を作る場所ではありません。

品質は、

設計

部品

工程

の中で作り込まれるものです。

おわりに

検査は重要です。

しかし検査だけでは品質は向上しません。

品質保証とは、

不良品を見つける活動ではなく、

不良品が生まれない仕組みを作る活動だと私は考えています。

品質は検査で作るものではない。

品質は工程で作るものである。

この考え方が、これからのものづくりにおいてますます重要になるのではないでしょうか。

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