はじめに
品質目標を決めるとき、
「市場不良率は0.15%を目標にしよう」
「前年比5%改善しよう」
という決め方をしている企業は多いと思います。
しかし、その数字には本当に根拠があるのでしょうか。
品質保証として長年仕事をしてきて感じるのは、多くの企業が目標値はあるが、その理由を説明できないということです。
Fコストとは
Fコスト(Failure Cost、Warranty Cost)は、
市場へ出荷した製品の保証対応で発生する費用です。
例えば
- 修理費
- 交換費
- 輸送費
- 出張費
- 顧客対応費
など、市場品質により発生した費用を指します。
これは工場内で発見した不良とは区別して考えます。
内部不良とFコストは分けて考える
品質コストには
- 工場内で見つけた不良
- 市場へ流出した不良
があります。
工場内不良は
「どれだけ減らせたか」
を見る指標です。
一方、
Fコストは
「市場でどれだけお客様へ迷惑を掛けたか」
を見る指標になります。
この二つを一緒に管理すると改善の方向が見えなくなります。
私は別々に管理する方が適切だと考えています。
現場では不良率管理でも問題ない
理想はFコスト管理です。
しかし、
現実には
製品毎の保証費用を正確に集計できない会社も少なくありません。
その場合、
市場不良率
で管理しても十分意味があります。
なぜなら
Fコスト = 市場不良件数 × 平均保証費用
だからです。
平均保証費用が大きく変わらなければ
市場不良率を改善することは、
Fコスト削減にもつながります。
本来の目標設定
本来であれば
経営が許容するFコスト
例えば
「売上の0.5%以内」
という目標があり、
そこから
市場不良率を逆算するのが理想です。
しかし現実には、
そのような企業は多くありません。
多くの企業では
- 前年実績
- 改善率
- 過去推移
から決めています。
業界比較はほとんど存在しない
品質保証担当者が困るのは
業界平均が公開されていないことです。
日本では
市場不良率も
Fコストも
ほとんど公開されません。
海外ではWarranty Weekなどが、
米国上場企業のワランティ費用率を調査しています。
例えば
半導体業界では約0.39%
というデータがあります。
ただし、
これは市場不良率ではなくFコスト率です。
直接比較はできませんが、
一つの参考値にはなります。
自社品質は自社で育てる
結局、
品質目標は
他社が決めるものではありません。
自社が
- どこまで品質を目指すか
- お客様へどの品質を提供したいか
によって決まります。
公開データが少ないからこそ、
自社実績を積み重ね、
改善し続けることが最も重要です。
最後に
品質保証の仕事は
数字を管理することではありません。
数字に意味を持たせることです。
市場不良率0.15%
という数字も、
「前年比だから」
ではなく、
「この品質レベルがお客様と会社の両方にとって最適だから」
と言えるようになること。
それが品質保証部門の本当の役割ではないでしょうか。
